2 法制執務(立法技術)の伝統と変化
(1) 実務慣行とその変化
法制執務上のルール又は立法技術については、その一部について、「法令における漢字使用について」(平成22年11月30日内閣法制局長官決定)のような成文のものもありますが、そのほとんどは明治時代以降の長年の立法の伝統の下で、確立された膨大な先例及び慣行を体系化したものであり、実務慣行の中で形成された事実上のルールです。そのため、これが改められる場合にも、通常は、法令の改正のように成文の形で改正が明らかにされることはなく、あくまでも実務の積み重ねの中で新たな慣行が形成されていくにすぎません。したがって、特定の時期において確立していると見られるルールも、時代の要請や法令の在り方に対する考え方の変化などにより、変化する可能性があることに留意する必要があります。