法令のトリビア(4)―法令番号(その2)

3 法令番号の用い方

 法令番号は、暦年ごとに付されますので、年を異にすれば、同一の法令番号の法令が存在し得ることになります。そこで、法令の特定のために法令番号を用いるときは、法令番号の前に公布された年(元号)を冠して、「平成○○年法律第○○号」などと表記します(前記民法の一部を改正する法律の例でいえば、「平成二十九年法律第四十四号」)。なお、法令集等においては、「平成○○年○月○日法律第○○号」などと表示されることがありますが、「○月○日」の部分は、法令公布の日を明らかにするため、編集上付されたものです。したがって、上記の例では、「○月○日」の部分を除いたものが法令番号ということになります。

 現在の法制執務においては 、法令において他の法令を引用する場合には、次のように、初出の引用箇所に当該法令の題名の次に括弧書で「(平成○○年法律第○○号)」などと公布年の元号及び法律番号が付記されることになっています(下記下線部分)。


会社法
(通知を受ける権限)
第十八条 物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、商法(明治三十二年法律
第四十八号)第五百二十六条第二項の通知その他の売買に関する通知を受ける権限を
有する。

4 法令の改正と法令番号

 法令番号は、当該法令が一部改正されても、内容の一部が改正されるにすぎず、法令の同一性は維持されますから、改正の対象となる法令の法令番号は、そのまま維持され、変更されることはありません。例えば、現行民法は、明治29年法律第89号として制定・公布され、その後多数回の改正を経ていますが、その法律番号は、現在も公布当時のもの(明治29年法律第89号)がそのまま維持されています。

 これに対して、ある法令を全部改正する場合は、形式は、既存の法令の改正ですが、その実質は、従来の法令を廃止して、新たな法令を制定するのと変わりませんから、法令番号は、全部改正法令の法令番号が付され、変更されます(新訂ワークブック法制執務第2版26頁)。この点は、全部改正において従来の法令と同一の題名が用いられる場合でも変わりません。例えば、教育基本法は、昭和22年法律第25号として公布・施行された法律でしたが、平成18年に全面改正がされたため、その法律番号は、平成18年法律第120号となっています。

(完)
[弁護士 柳田幸三]